住めば都

気が向いたら、好きな俳優、観劇記録や日常ごとを独断と偏見に満ちた表現で書き散らかしています。思考が合わないかたはごめんなさい。

ブエノスアイレス午前零時@新国立劇場 12月13日(土)夜

通常の私の観劇予定は12年以降、主に内野さん、光一さん、佐々木蔵之介さん、文楽や歌舞伎というようなローテーションできました。この順番は誰に比重を置くということではありません、皆舞台を勢力的にやってくれる。35オーバー働き盛りのお年頃。佐々木蔵之介さんなどは、舞台にお客様を連れてくるためにテレビや映画仕事をやってくれているかのようです。ここで、ジャニーズであるところの光一さんがさらっと入ってきたのが近年自分でも不思議。これもKinKi Kidsにはまったからだとは思います。ただ歌や曲やKinKiコンに魅了されるのと舞台(Endless SHOCK)を見続けるというのは私の中では連動しないものですから、今の所流れに身をまかせているとしか言えない。せっかくファンクラブに入ったのだから SHOCKを観てみようかしらとふと思ってから、如何せん新規の人用の席が近すぎて(とりあえず生の光一さんを近くで見せておけ、という感じ)聴こえる音が厳しい状態にも関わらず、1週間熱に浮かされたようになっていましたしね。ただ正直ライバル役が2013年から屋良さんでなければ見続けていないとは言える。好きな人だけ見ていれば幸せではないのだ。

さて、ここで森田剛さんです。今日の舞台はタイトルから森田さんがタンゴを踊るだろうという安易な思いつきでとりあえずチケット購入を決めています。観劇友はともかく、森田さんのお芝居を観るのも初めてですが今までの好評ぶりを聞くにつけ、期待しかない。

ここまでは、観る前に書いた部分。

パルコ劇場プロデュース公演なので、本当に新国立は場所を貸しただけという雰囲気。わかるけど面白いね。ファンクラブに入っていないので(たぶん)前の列ではなく、1階席後ろのほう。中劇場だいぶ間があいて今年に入ってよく行くようになったのですが、帝劇クラスの収容人数なのかな。近いほうよね。過去(ブエノスアイレス)と現在(新潟と長野の県境?)を行ったり来たりする展開で、装置と演出がわかりやすくすんなり観られる。正直、もう少し森田さんに踊ってほしかった。まぁダンスはお芝居の流れでのことなので、ニコラスが踊りゃいいって訳ではないのでわかるのですが…。私の期待の表れってことです…。過去と現在のミツコと3人でタンゴを踊るところが最高潮。そこで終わってもいいくらい。あと森田さん、女になじられるのがいいねぇ。なんというか女になじられて、それをさらっとあしらい自分の思う場所(観念的に、その他もろもろ)に女を連れて行くあたりがとても巧くて似合って困るよ…。

 

ことばより大切なもの

 私には姉が1人おりまして、ピアノに子どもの頃触れ、ブラスバンドのトランペットに魅せられ、高校大学と学生オケでトランペット吹き就職して今に至ります。大学以外のアマチュアオケに入ったことはありませんので、どこにでもいるライトなクラシックファンです。

 過去音程についていつも考えて音楽に接してきたひとが、私がKinKi Kidsにはまったことをきっかけに一緒に彼らの曲を聴きコンサートに行くようになりました。デビュー当時のKinKi Kidsをリアルタイムで知っている世代でしたら、歌声に限っての話では、ま、そりゃ剛さんにまず惹かれますわねー。御多分に洩れず、姉もそうです。音程(ピッチ?)に厳しいひとなので歌声は剛さんが好きと、よくわかりませんが今も何度も言うのでそうなのでしょう。。私に言っているのではなく、自分に言い聞かせているのかしら。
 これはワレワレ姉妹だけの傾向ですが、歌詞どうでもいいんです。作詞家の皆さんごめんなさい。ことばより大切なものがあるのです。メロディー、音(歌声)優先なんです。イントロのギターリフやベース音の聴かせどころ?が好きだったり…。どういう歌詞かよりどういう音が耳に届くかが大事。これはクラシックに思春期にのめりこんで(私は親しむ程度)いたからというのはあります。父は高橋真梨子玉置浩二が好きでしたが、歌謡曲やJ−POPをさほど熱心に聴く家庭ではなかったです。姉がクラシックを聴いていれば一つ屋根の下ですから耳に入ってくるといったような環境。
 新曲を聴く時まず気にするのは、好みのメロディーラインかどうかです。哀愁漂うメロディラインが好きなので、今回の鍵のない箱ですと、通常盤カップリング「blue new moon」がお気に入りだそう。
 

 

鍵のない箱 【通常盤】

鍵のない箱 【通常盤】

 

 

あと歌声がデジタル加工処理されすぎるのを極端にいやがります(他のグループの話)。基本生思考なので、歌声が聴きたいのになにするんじゃぼけっというわけで…。いまの流行に真っ向から反対の立場ですねぇ。私は声質によっては加工してもいいかなとも思うので、人それぞれかしらと。PCでダウンロード、再生できるなど、デジタルのいいところは享受していますし…。他のKinKi Kids曲だと、スワンソングのカップリング「面影」が好きすぎて、再生回数は300回近いです。
 姉は私よりさらに歌詩を聞き取ろうとする気がなく、残念ながらこの時のこの歌詩がという話はだいたい成立しません。老眼がすすんで歌詩カードを見るのもつらそうです。。
 現在CDを買ってPCに落としたあと流す曲の決定権があるのは私(家庭内実力者!)なので、実際にうちの日常で姉のために掛けているのは、あらし(リーダーソロ)、KinKi Kidsか光一さんソロです。主に「KinKi Kids」の剛さんの歌声と光一さんが作る曲、選ぶ曲が好きみたいです。
 剛さんソロの歌声は艶やかで意志が溢れていて、姉妹ともに日常的には受け止めきれないので、時にまとめて聴いておりまする…。剛さんおぱんつCDの曲いいよ!私は「恋にも愛にも染まるような赤」、姉は「FUNKY PANTIES」が特に気に入っておりますが、これは通販限定だったのがとても残念。
 
 

ブレス・オブ・ライフ @新国立劇場 10月23日

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二人芝居シリーズだそうです。
どうしても独白か対話式ですよね。
夫が己の所業を恥じる気持ちを探していたの、と心情をぽつりと吐露する元妻。
詳しい経緯は省かれても、妻よりも早くマーティン(妻からすると夫)と出会っていたのに、結ばれることを望まなかったように見える元愛人。
二度と会わないからこその、軽妙で、互いの喉元に刃物を突きつけつつのやりとりが楽しい。
でも、テンポが一緒なので始まってしばらく探り合いの会話が眠くて。。
登場人物の背景がわかるようでわからない戯曲という意味では、麻実れいさんと、若村麻由美さんと堀部圭亮さんの三人芝居「昔の日々」のほうがゾクゾクしたかな。わたくし比較。
若村麻由美さんの年齢を超越した雰囲気と美しさ、可愛らしさがなんとも言えない女優の神秘だと思う!
 

砧 華諷会〜馬野正基能の会〜@喜多六平太記念能楽堂

初めてではないはずですが、久しぶりすぎて初めての能と同じでした…。

馬野正基の会

能楽の有名な演目はいろいろなものに移されていて、文楽でも安宅、紅葉狩、道明寺などあげるときりがありません。

さそってくれた友人によると、重い演目(長いし初めてだと難解?)だそーな、砧です。自分なりに調べたところによると、能楽は基本亡くなっている人が大事なところで出てくるつくり。能楽の成り立ちが亡くなった人を弔うため、もあるらしいです。狂言は生きているひとの日常生活にふと訪れる、おかしみの普遍的な表現だと思います。

簡単に砧のあらすじ私の目線で。

訴訟のために都へと上った九州の芦屋某。某は妻を思って侍女夕霧を遣わすも、奥方は夫に会えない切なさがつのるばかり。奥方は彼を待ち続け、砧を打つことで遠く離れた夫に気持ちが伝わることを願うが、やはり帰れないとの知らせを受け取る。嘆き悲しんだ奥方は病を得、ついになくなってしまう。急ぎ某は帰郷するが、亡霊となった奥方と対面することに。。

 

長い演目で、始まりは確かに眠くて視界がゆらゆらしていました。申し訳ないですが、地謡の皆さんの詞章ははっきりわかりません。文楽のように床本ならぬ謡本をもっていないしね、文楽のように配られないし。配ってほしいわけではないの。持参なさっておいでの方々をお見かけしました。私は聴き取れる範囲で。大鼓、小鼓、規則的に、笛の音が高低自在に音楽を奏でます。

あと、国立能楽堂での能ならともかく、個人の会というのかしら、に1人で行くのは勇気がいります。多少伝統芸能に接している私でも、私的な会にいきなり行こうとはなかなか思えないです。内輪での感じがとてもしますし、実際そうでした。今回友人が能楽が好きな人で、あれこれご存知だから安心してご一緒しました。

予習としては、成田美名子さんのこの漫画と、演目をあらすじを読んだくらいです。

 

花よりも花の如く 13 (花とゆめCOMICS)

花よりも花の如く 13 (花とゆめCOMICS)

 

 

「間」(場が変わる箇所?)に野村万作さんが出てきて、簡単に前半の説明をなさるのですが、台詞長くておどろく!いわゆる休憩ではなく、奥ではシテ(メインのひと)が違う衣装にお着替え中で、奥方が亡くなり霊になって出てくるまでの場面展開の時間がほしいわけです。二次元のものを三次元に組み立て演出するときに、出入りの時間、場面転換や着替えの時間など、考慮しなければいけない具体的な手順が多いですよね。SHOCKで聞いた話だと、ドアを開けるひとも決めておかないといけない…。能楽の場合は、できるだけシテやツレの出入りは控えて(わざとかはわからないので、聞いてみます)、舞台上でやることが多く、後見の皆さんがそれらのお世話をなさる印象でした。

奥方が幽霊となって出てくると、装束も上が地紋がある白、下が薄いエメラルドグリーンの袴の着付けです。能楽の装束は、袴が変わっていますよね。究極にぺったんこといいますか、ふくらみを排している。

上は逆にどれくらい中に着込んでいるのかしらのふくらみ具合。上と下の長さがちょうど1:1のように着付けていますから、胴長短足の日本人にはぴったり〜。あ、某の従者はふつうに素袍だったと思うのよね。某もそうだと思うけれど、ささっと私の死角に座ってしまったのであいまい。

 奥方の幽霊が出てきてから、俄然覚醒しましたよ。舞台に緊張感がみなぎるのもありますが、初心者の私でさえそうなのですから、お詳しいひとは幽玄の世界にあそぶ、のでしょうね…。

奥方が、夫のほうにささっと進み出て、あっと後ずさりするところが、きゅんとしましたよ…。さめざめと泣いているし(泣いている顔の角度だとお面をつけていることもあり、きちんと女性に見えるのですよ…)、旦那さんひどいと思うの!亡くなってから帰ってきても遅い!

あと、友人の観能時の座席の取り方が素敵で観やすかったのです。舞台正面のゾーンの少し右手(通常の舞台だと上手)よりだと、橋懸かりから演者が出てくるところなどすべて、顔を動かさず舞台全体を見通せるので、ストレスフリーなんですよ。文楽でいうと床下のほうですね。地謡のかたたちのお顔はさっぱりわかりませんがね…。

というわけで、能楽の動きも知ってはいましたが惚れ惚れしましたね、これが日本人が何百年も掛けて獲得したオリジナリティだなぁと。すり足で、出っ尻気味で下半身に力が溜まっているように感じるのに、きれいに平行移動してすっと回転する。いわゆるバレエやジャズダンスでの回転を見慣れている身としては、能楽の回転は、時間軸が変わるくらいの変化を感じましたね。ほかがゆったりしているから。今回素早く動くことがほぼない演目だったというのもありますが、すささっと動くとびくっとするという有様…。

お話は憤慨しつつ、動きの隙のなさ、おおらかさにすっかり魅了された時間でした。

ありがとう!また誘ってもらおう。

 

演者と演出と編集…日経エンタ!

 

 

 この連載、SHOCKの稽古話から始まって上演中のあれこれもあり、ついにDVD編集の話になったわ。ファンはここまで包み隠さず話してくれるの?といつも思う読み応えだし、実際にSHOCKや光一さんを知らなくても、無理なく話は普遍的なところへと繋がる。担当さんが「塩対応」と呼ぶ光一さんの連載が続くわけかな。。

 自分が演じて演出して映像編集まで関わるひとってどのくらいいるのかしら、でもそこは譲れないというのがよくわかる。たとえば通訳を考えても、サッカー日本代表監督の通訳は、監督の国の言葉と日本語ができればいいだけではない。サッカーの戦術を理解し、選手やコーチに的確に伝えなければならない。ただ言葉を翻訳すればいいだけではないですものね。映像編集も、「その場面はこう見せたい」を映像編集者と共有できていないと、「何や、よーわからん」や、そこが見たいわけではないのに!といった映像の繋ぎになるのでしょう。 

それから、言われれば誰だって納得、しかし意外とおろそかにされがちだと思うのは、「画面の急激な切り替え」についてです。

急激に切り替えられると画に目が追いつかなくて脳がびっくりしてしまう、という一文がありましたが、実際かるくめまいを覚えるコンサートDVDってあるのですよ…。私の場合一度見て、そういうものだと脳が認識すれば大丈夫になりましたけれどね。。

ここ数年でジャニーズのグループのコンサート(何組か)に行き、その後DVDを買って見るようになりました。そこが見たいわけではないよ!どうしてこんなに早く切り替わるの?や、ダンスなのに顔のアップばかりで足元見えません…とかとか感じてしまっていましてね。でも、編集しない据え付け画面で引きの画ばかりではねぇ、公演記録が主ではないわけですし。(ぐちってしまった…)

こういうことばかり思うのってファンとしては残念至極。だから目をつぶれ、出てくるものを甘受せよ、と思ったりもします。KinKi コンに関しては、そういうのあまりなかったかな。Kコンは初めてで天井席だったので、DVDを嬉しく見ましたし、15コンは行って実際に観た時より、DVDが見やすかったですねぇ。15コン、セットが櫓で見上げてばかりでしたからねぇ。。

ことSHOCKDVDに関しては諸々ストレスを感じず、すんなり物語に入っていけます。真の見どころをこぼすことろなく入れてもらっている、という自負もさることながら、1000回記念と言えども映像作品をよく出してくれた。(高額だけれどね!)

ファンが求めていますが、DVD&Blu-rayでここまでクリアな疑似体験ができるわけですからね…。

作り手の理にかなった場面展開と視聴者が見やすい編集は、プロの技術を噛ませないと相容れないようなので、そこは何を最優先にするか、かもしれません。光一さんが作り手かつ自身の観劇時の気持ちで作業に関わった良さが、きちんと出ています。

まぁ実際の舞台を見てほしい演者からすると、複雑そう。ただ、チケットがファンクラブに入っていない普通のひとには取りづらい、いろいろな事情で観にいけないひともいます。関わるスタッフにしても、映像として残ることは嬉しいことではないかしら。映像作品としてDVDを売ることも、作品の良さを伝えることだと思いますよん。

1回で終わらなかったし、続きも楽しみ!

 

炎 incendies(アンサンディ)@シアタートラム 9月28日 


『炎 アンサンディ』 演出:上村聡史 出演:麻実れい、岡本健一 ほか | 世田谷パブリックシアター/シアタートラム

 未確認でしたが、初日に行って参りました。初日だったのか!

初日とは思えない完成度でしたよ!いろんな舞台ぼーっと観ていますが、残念ながらジャンルを問わず、初日の高揚感を除いてしまうと満足する舞台はそうそうないものなんです。いのうえひさしさんの脚本のお芝居に内野さんが出た時も、初日の料金変えてもいいよ?と思ったものです。今プレビュー公演と銘打つところありますもんね。。

 

今回はレバノンの内戦が絡む話です。ずっと固唾を飲むしかない場面が続くの。無酸素(イメージです(笑))で苦しくなる。息を抜ける所は唯一主人公の少女時代のみ。物語の場面は大まかに2つの国と2つの時期の組み合わせ4つに分かれていて、それが装置と呼べるものがほぼない舞台で交錯しつつ展開される。

 今回日本初演ということもあり、作品の見方の提案なのでしょうか、演出と照明の人対談がパンフに載っていて照明のシビアさにうなる。単純に、どれに光をあててどれを影にするまたは映さないという選択の連続ですものね。演出家の意図を汲んで反映(文字通り)させなければならない。物語に寄り添いながら出しゃばらない、できる秘書みたいな役割。

 そしてなんというつくり話!これを素直に飲み込めるひとは、どれくらいいるの!歌うような台詞回しの麻実れいさんの凄みを感じる。ため息とともに終幕するも、不思議と生まれ変わったように生きる気力が湧いてくるお芝居なのです。目に見えないけれども、観客も傷ついてるよ。。そういうお芝居です。この物語のあらすじを私が改めて書くのは野暮な気がする。ぜひ時間が許す方は三軒茶屋に観にいって下さい。