住めば都

気が向いたら、好きな俳優、観劇記録や日常ごとを独断と偏見に満ちた表現で書き散らかしています。思考が合わないかたはごめんなさい。

国立文楽劇場 4月文楽公演 通し狂言「菅原伝授手習鑑」4月12日(土)

国立文楽劇場開場30周年記念公演で、竹本住大夫師匠引退公演でもあります。

菅原伝授手習鑑の通し狂言
通常では、土曜日昼くらいに大阪に着く新幹線で二部を観て、宿泊し翌日一部を観て帰京なのです。
ここはひとつ無理をして(笑)、朝早い新幹線で大阪へゆき、一部二部通しで観ました。
腰や脚には疲れがきますが、行ってよかった観てよかった!
身体が動くうちに好きなものを観て、旅行しておくべきだと最近痛感するので。
 
通し狂言のよさは、荒唐無稽でも物語の起承転結の醍醐味が味わえるところ。
いわゆる見取りの名場面ばかりも楽しいですが、緩急がうまく考えられているので、えぇ?という話や場面があってもそれでさらに全体が盛り上がる。
 
今回初めての菅原伝授手習鑑の通しで、お人形が可愛くて、わぁと気持ちが盛り上がると同時に、子どもを犠牲する話なのよね、の切なさに涙する。
振り幅大きいよ…。
車曳の段、歌舞伎でもよく上演されるらしいのですが。衣装がそろっていて視覚的にも映えるし、三つ子喧嘩しているし面白いのだ。
三つ子だからっていつも衣装が一緒なの?とか(笑)つっこみたくなる。
 
文楽のよさは一度体験してもらわないと、どうにも説明しづらい…。
地味と言うひとに限って文楽観ていない。わかりにくいと言われるとそうね、と言うしかないけれど、わかりにくいからもっと知りたくなるのよー。
そうそう、それと私は集中力がないし、よく寝るほうだと思います、すんません…。
文楽は寝る人に寛容な芸能だと思うわ〜。いびきかかなければ。気にするひともいると思うけれど、それはね、人それぞれだし、それでも好きだし大事なところは目が覚める(笑) つまらないから眠くなる訳ではないと思うのよね…。ふっと意識がなくなるよ…。
もっと知りたくなるためには、観て好きになってもらいたい。気にしてもらいたい♪
ハードル高いのかなぁ。
お人形さん可愛いよー。三味線の音の多彩さ。大夫さんの登場人物の語り分け。
能楽文楽・歌舞伎の関係性を知るともっと楽しいよ。
人形ならではのいい意味での現実感のなさと、人ではできない動き、ストレートに表現される喜怒哀楽にこちらも素直に浸ってしまいます。
 
うん、菅丞相の涙がほろりとこぼれる様子を三味線で表現するのよ…。
燕三さんの三味線の音すごかったな…。
 
住大夫さん、おつかれさまでした。まだ5月公演はありますが、先にお礼を申し上げたい。
あなたの浄瑠璃を聴いて初めて泣きました。泣くのがどうなのかって、人それぞれだし、泣かなくてもなんの問題もないんです。でも前回大阪で沼津聴いたとき、泣けてしかたなかった。
「情(じょう)」が大事だとよく言います。あなたの浄瑠璃がそれを本当に表していると思います。あなたの最後の浄瑠璃を聴くためにたくさんのひとが集まっていました。
あなたの演じる姿勢が、後輩を育てる姿勢がそれを物語っています。皆あなたが発する情を目に耳に焼き付けたいと思っている。
桜丸切腹の段。声が細くなっていらして、でも気持ちはとても大きくおありで。
聴きながら泣きそうでした。若い身空でいのちを散らすから桜丸には「桜」の名前なのよね。桜の、春の季節にお別れできてよかったと思うことにします。