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住めば都

気が向いたら、好きな俳優、観劇記録や日常ごとを独断と偏見に満ちた表現で書き散らかしています。思考が合わないかたはごめんなさい。

「秋のソナタ」 東京芸術劇場 シアターイースト 10月28日

舞台

改装後プレイハウス(中劇場)は行きましたが、ここは初めてです。この狭さは久しぶり、300席に満たないと感じる座席数でした。通っていた高校のそばに三百人劇場というこじんまりとした劇場があったのをふと思いました。それと、若い頃よく行っていたベニサンピットという名の倉庫か稽古場かという場所での「tpt公演」を思い出していたら、まさにそこで見いだされた演出のひとでした。

映画ではイングリッド・バーグマンがシャルロッテで出演しているのですね。

 

シャルロッテ(佐藤オリエ)とエヴァ(満島ひかり)。

満島さんは見たなかでは「それでも、生きていく」というドラマが印象的な、声が楽器のように少し翳りがあってよく響く女優さん。すらっとしているのに、ちょっと小動物みたい。

対するオリエさんは、低い地の底から響く声で脅したりすかしたり、少しだけ高い声で哀願したり声だけでも変幻自在。

 

舞台転換はなく、ろうそくの灯りや大きめなテーブルクロスが重要なアイテム。時間の経過、エヴァの気持ちの投影、はたまたピアノとしての表現の一翼をになう。

 

若かった自分をこれでもか、と見せられているようなひりつくお芝居でした。母への鬱積した感情や、過去のやるせない思いを言い合う状況にとことん慣れていないのを思い知らされました。でも、言い合っている当人たちは、感情は昂っているけれど、お互いどこか距離があり冷徹なのです。

満島さんは期待させる器を持ちながら、まだこちらが勝手に想像する高さまで到達できていない印象です。でも、それでもいいのです。補って余りある魅力。また、このひとの演技を見たいと思わせる、ひとを逸らさないまっすぐな気持ち。

若い=未熟ではないのです。若い=希望なのですね。

キスしてハグして関係を修復するお芝居ではないのに、宗教色がほんのり絡まっているからか、木漏れ日がさす程度の希望を胸に終演でした。